専門演習

私が担当している3回生~4回生向けに開講する刑事学演習(専門演習1a・1b・2a・2b)の概要についての説明です。

志望理由書の書き方を含む「専門演習の選考」についても、ぜひご覧ください。

【専門演習1a(3回生春学期)の内容】
   死刑をテーマとします。

 ①死刑に関する判例(1)
  以下の3つの事件を取り上げ、死刑と絞首刑の合憲性についての判例の考え方を理解し、議論します。
   最大判昭23年3月12日刑集2巻3号191頁
   最大判昭30年4月6日刑集9巻4号663頁
   大阪地判平23年10月31日判タ1397号104頁・大阪高判平25年7月31日判タ1417号174頁・最判平28年2月23日裁判集刑事319号1頁

 ②死刑に関する判例(2)
  以下の4つの事件を取り上げ、死刑選択基準についての判例の考え方を理解し、議論します。
   最判昭58年7月8日刑集37巻6号609頁
   最判平18年6月20日判時1941号38頁
   最決平27年2月3日刑集69巻1号1頁
   最決平27年2月3日刑集69巻1号99頁

 ③海外の状況
  アメリカとヨーロッパの死刑の状況を紹介し、日本の死刑が海外から受ける影響等について議論します。
  アメリカの死刑の状況を触れる際には、以下の3つの事件を取り上げてもらいます(日本語で紹介した文献があります)。
   Furman v. Georgia, 408 U.S. 238 (1972)
   Gregg v. Georgia, 428 U.S. 153 (1976)
   Glossip v. Gross, 576 U.S. ___; 135 S.Ct. 2726 (2015)

 ④死刑事件の手続
  死刑事件の手続は「特別」でなければならないとするSuper Due Processの考え方がアメリカでも日本でも支持を広げています。

  死刑事件の手続は、他の刑事事件の手続とどのように異なるべきであるのか、その結果としてどのような影響がアメリカでは生じているのか、考察し、日本の死刑事件の手続の在り方について議論します。

 ⑤死刑事件の被害者遺族
  被害者支援が最も必要とされるのは死刑事件の被害者遺族です。

  死刑事件の被害者遺族にどのような支援がなされてきたのかを理解し、どのような支援が今後なされていくべきであるのかについて議論します。

【専門演習1b(3回生秋学期)の内容】

 平成以降の刑事学に関係する立法・法改正を選んでもらい、報告してもらいます(刑事学演習ということもあって、いじめと法については対象としていませんので、ご注意ください)。
 このほか、法廷教室を利用して、量刑について争う模擬裁判を実施しています。

【専門演習2a・2b(4回生)の内容】

 刑事学の何らかのテーマについて報告をしてもらいます。
 このほか、法廷教室を利用して、量刑について争う模擬裁判を実施しています。

【報告前の準備】

 報告は、ゼミ生が作成したレジュメを用いて行ってもらいます。

 レジュメの事前チェックはかなり丁寧に行うようになりました。
 多くの場合、提出と修正指示のやり取りを数回行っています。いちばん多いときには15回ほどやり取りを繰り返したことがあります(念のために申し上げると、極端に多い例です)。
 十分な報告ができない状態にあると判断した場合、報告日をずらしてでも準備に時間をかけてもらうようにしています。

【施設の参観】

 刑務所、少年院、少年鑑別所、児童自立支援施設、更生保護施設等の参観を実施してきました。

  <募集要項の記載に追加してお知らせしたい内容>

*施設の参観についても、できる限り実施したいと考えておりますが、参観先の施設が集団生活を行う閉鎖的環境にあって新型コロナウイルスを含めた感染症が拡大しやすい性質を有しているため、新型コロナウイルス等の感染症の流行状況によっては、参観の予約ができない等の理由により、実施できない可能性がありますので、お含みおきください。

2021年度は、参観できる状況になく、参観できませんでした。

2022年度は、少年院の参観を実施しました。

2023年度は、刑務所の参観を実施しました。

【研究論文】
 研究論文の作成は、任意としています。
 学生が作成を希望する場合は、時間をかけて指導するよう心掛けています。
 学部が定める提出締切は毎年12月です。

【卒業後の進路】
 法学部(他の文系学部)の他のゼミと同じように、民間企業へ就職するゼミ生が最も大きな割合を占めています。
 業種別にみると、こちらも法学部の他のゼミと同様、金融機関やメーカーへの就職が目立ちますが、商社、小売業、運輸業、不動産業、法律関係、IT関係、教育関係、福祉関係等多彩です。
 公務員志望者の割合は他のゼミとほとんど同じだと思いますが、裁判所事務官、検察事務官、警察官等を目指す人の割合が他のゼミよりも多いのが刑事学ゼミの特徴かもしれません。
 法科大学院に進学する人は最近はほとんどいません。2018年9月に第7期の卒業生が司法試験に合格しました。永田ゼミからは初めての司法試験合格者です(ゼミでは、司法試験受験に向けた指導を特段行っているわけではないので、私の寄与度は全くありません)。その後、もう1人合格しました。刑事学は司法試験の試験科目ではありませんので、ゼミで試験対策をしたいと考える人には法科大学院の教員が担当するゼミや民法等のゼミを勧めるようにしています。
 法学部の場合、どのゼミを履修するかで進路が限定されるということはまずありませんので、興味に従って選択してもらえればよいのではないかと考えています。

【これまでの開講状況】

2005年 第1期ゼミ生 16名

     関西大学法学部に専任講師として着任しました。

     4回生6名、3回生10名(第二部〈4回生〉とフレックスコース〈3回生〉の合併クラス)。
     ゼミ期間1年間、6限開講。

2008年 第2期ゼミ生 19名

     准教授になりました。

     4回生2名、3回生17名(フレックスコース〈4回生と3回生〉の合併クラス)。
     ゼミ期間1年間、6限開講。

2009年 第3期ゼミ生 13名

     以後、ゼミ期間2年間(Aグループ開講)になりました。

2010年 第4期ゼミ生 8名

2011年 第5期ゼミ生 11名

2012年 第6期ゼミ生 19名

2013年 第7期ゼミ生 15名

2014年 第8期ゼミ生 17名

     この期まで、3回生春学期のテーマは少年法でした。

2015年 第9期ゼミ生 8名

     教授になりました。

     以後、第12期まで、3回生春学期のテーマは児童自立支援施設でした。

2016年 第10期ゼミ生 17名

2017年 第11期ゼミ生 16名

2018年 第12期ゼミ生 8名

2019年 第13期ゼミ生 9名

     この期はゼミ期間1年間(Bグループ開講)に。

     以後、3回生春学期のテーマは死刑です。

2020年 ゼミ休止(関西大学研修員及び関西大学学術研修員として2020年4月~2021年3月までの1年間研究に専念し、授業を担当しなかったためです)

2021年 第14期ゼミ生 9名

     以後、再びゼミ期間2年間(Aグループ開講)

2022年 第15期ゼミ生 10名

2023年 第16期ゼミ生 10名  *選考段階での合格(=履修許可)は12名でしたが、学生さん側の事情により10名となりました。

2024年 第17期ゼミ生 12名

2024年3月末現在、卒業したゼミ生は194名になりました。

ゼミ生から写真掲載の承諾をいただいています。


〔注意喚起情報〕
 ゼミ担当者は橋本愛のファンです(「いい年したおっさんが……」と生理的に受け付けない人もいる[多い……?]と思いますので、注意喚起情報として記載しています)。

         ○ 

 マンガもアニメも好きです。

 

             

『魔法使いの嫁』のアニメの生動画(原画)

WIT STUDIO さんから『魔法使いの嫁』のアニメの生動画(原画)をいただきました。

〔左〕第1期第4話(Everything must have a beginning.) 20分すぎ〜

「『消す』、しか、ないのかな……」とチセがウルタールで悩みを独白するシーン。

〔右〕第1期第11話(Lovers ever run before the clock.) 20分すぎ〜

水鏡を通してエリアスから「君がいないと、なんだか家が寒いよ。今は夏で、暖炉も焚いてるのにね。」と言われてチセがわずかに頬を染めるシーン。