展開講義(いじめと法)

2021年度新規開設

2単位(半期・15回)

【科目開設の趣旨】

平成23年(2011年)に被害生徒が自殺した大津市いじめ事件をきっかけとして、平成25年(2013年)にいじめ防止対策推進法が制定され、施行されました。同法は、施行規則や施行令を有さず、同法11条に基づいて平成25年に文部科学大臣によって策定された「いじめの防止等のための基本的な方針」や平成29年(2017年)に文部科学省によって策定された「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」が施行規則等に相当する役割を果たしており、基本方針の裁判規範性が福岡高判令2714日公刊物未登載によって認められるに至っています。

同法の施行から7年余りが経過しましたが、平成30年(2018年)に総務大臣から文部科学大臣に対してなされた「いじめ防止対策の推進に関する調査結果に基づく勧告」において厳しく指摘されたように、日本全国でいじめ防止対策推進法、「いじめの防止等のための基本的な方針」及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」の違反が常態化する異常な状態にあります。

こうした中で、全国の大学において、いじめ防止対策推進法が講じられることはあるものの、生徒指導論等の科目において取り上げられることがあるに過ぎず、いじめ防止対策推進法に主たる焦点を当てる科目を有する大学は、管見の限り、ないようです。

 子ども・児童に関心がある本学法学部生は少なくないことから、いじめ防止対策推進法を講じる科目は、そういった学生の興味・関心に応えることができると思われます。また、教員志望の学生にとっても有益であると考えられます。

<授業概要>

 いじめに関する法規範について講じます。

 具体的には、いじめ防止対策推進法、いじめ防止基本方針及びいじめの重大事態の調査に関するガイドライン等について検討します。

<授業計画>

1回 イントロダクション

 

2回 いじめ防止対策推進法の概観並びに目的、基本理念及び責務

 

3回 いじめとその構造

 

4回 関係機関・専門職と支援のあり方

 

5回 いじめ防止基本方針・指針・ガイドライン

 

6回 いじめの防止及び早期発見

 

7回 いじめに対する措置

 

8回 いじめの重大事態① 判断・発生報告

 

9回 いじめの重大事態② 調査組織の設置

 

10回 いじめの重大事態③ 説明事項の説明

 

11回 いじめの重大事態④ 調査

 

12回 いじめの重大事態⑤ 調査結果の説明及び公表

 

13回 いじめの重大事態⑥ 調査結果を踏まえた対応・調査結果の報告・再調査

 

14回 法改正の方向性

 

15回 振り返り